抄録
糖尿病における動脈硬化発症の危険因子とされる食後高血糖,高インスリン血症,高脂血症と,高感度CRP (hs-CRP)との関係を検討するため,耐糖能異常者12例を対象とし75 g糖負荷試験(OGTT)およびテストミール負荷試験(MTT)を行い,負荷前から負荷後180分までの血糖,インスリン,TG, RLP-Cを測定し曲線下面積(AUC)とhs-CRPを比較した.空腹時においてインスリン,HOMA-R, BMIとhs-CRPに有意な相関がみられた.OGTT, MTTのインスリンAUCはhs-CRPと各々有意な相関がみられた.対象者をBMI 25 kg/m2で肥満と非肥満に分けて比較すると,インスリン,RLP-C-AUC, hs-CRPは,肥満者で有意に高値を示した.空腹時,負荷後ともに血糖や脂質ではなく,インスリン分泌量がhs-CRPと関係した.また,肥満では空腹時および負荷後インスリン,負荷後RLP-Cが高く,hs-CRPも高値であり動脈硬化のリスクが高いと考えられた.