抄録
症例は48歳,男性.37歳時,重症筋無力症およびバセドウ病を発症.バセドウ病に対してはチアマゾール投与を,重症筋無力症に対しては胸腺全摘術およびプレドニゾロン(PSL)投与を行い症状は改善した.その際,耐糖能異常を指摘され,当初は食事療法のみでコントロールされていたがHbA1cが徐々に上昇したため43歳時より経口血糖降下薬が開始された.しかし,その後HbA1cはさらに上昇し,抗GAD抗体高値を認めたため緩徐進行1型糖尿病が疑われ,今回インスリン治療導入を行った.本症例は多腺性自己免疫症候群(polyglandular autoimmume syndrome: PGA)の3型と考えられるが,重症筋無力症,バセドウ病,緩徐進行1型糖尿病の3疾患を合併した稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.