2009 年 52 巻 3 号 p. 209-221
インスリンの投与方法(インスリンおよびその投与器具の両方を含む)が患者のQOL (Quality of life)に与える影響を測定するため,Insulin Delivery System Questionnaireの日本語版(以下,IDSQ-J)を開発した.IDSQ-Jは患者自記式の18の質問項目,4つの質問群から構成され,因子分析の結果,共通性の低い2つの質問項目を除く16項目が満足度,扱いやすさ,日常生活への影響,血糖コントロールという4つの下位尺度を構成していることが検証された.各下位尺度スコアについて,良好な再現性が認められ,インスリン治療に対する意識調査結果や糖尿病治療満足度質問表と期待された関連性をもって妥当性が確認された.以上の結果より,IDSQ-Jはインスリン投与方法を患者の立場から総合的に評価する評価尺度として実用上,有用であることが証明された.