糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
バセドウ病と重症筋無力症の合併例に発症したインスリン自己免疫症候群の1例
今枝 憲郎山田 一博木村 了介一柳 亞季藤岡 はるか龍華 史江水野 達央遠山 竜也山下 啓子岡山 直司神谷 吉宣城 卓志
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 52 巻 3 号 p. 229-234

詳細
抄録
症例は27歳女性.重症筋無力症(MG)とバセドウ病で治療中であった.2007年5月に他院でチアマゾール(MMI)が2週間投与されたが,患者にはMMI, プロピルチオウラシル両者にアレルギーがあり,手術予定であった.7月下旬に意識消失で当院に救急搬送された時,低血糖(24 mg/dl)を認めた.空腹時検査でIRIの異常高値(233 mIU/ml)とインスリン投与歴がないにもかかわらずインスリン抗体結合率が上昇(89%)していた.HLA DRB1*0406が認められ,Scatchard解析ではhigh-affinity siteの親和性低値(0.0195×108 M-1), 結合能高値(119×10-8 M)を示し,MMIにより誘発されたインスリン自己免疫症候群(IAS)と診断した.バセドウ病には甲状腺亜全摘術を施行した.MGにバセドウ病が合併することは知られているが,さらにIASが合併するという極めて稀な症例であり報告する.
著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top