糖尿病
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症例報告
不適切な副腎皮質ステロイド補充により肥満と糖尿病を呈した成人21水酸化酵素欠損症の1例
佐久間 一基松澤 陽子齋藤 淳伊藤 浩子大村 昌夫西川 哲男
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2012 年 55 巻 3 号 p. 209-214

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抄録
症例は38歳女性.父,兄に糖尿病あり.1歳時に,21水酸化酵素欠損症(塩類喪失型)と診断された.成人期はデキサメタゾン補充となり2.5 mg/日まで増量され,体重が増加した.34歳時HbA1c上昇,グリメピリドが開始されたが血糖コントロールが悪化,入院となった.クッシング徴候を認めた.糖尿病性細小血管症,動脈硬化は認めず,高インスリン血症を呈した.薬剤性クッシング症候群,ステロイド糖尿病と考え,グリメピリドを中止,メトホルミンとボグリボースに変更.ステロイド補償を一部ヒドロコルチゾンに変更後,体重減少,血糖コントロール改善を認めた.21水酸化酵素欠損症のステロイド補償量は,ACTH,アンドロゲン過剰を防ぐ最低限の量が望ましい.加齢,肥満,糖尿病家族歴など2型糖尿病リスク因子を持つ患者では,ステロイド過量補償による糖尿病発症リスクも高く,ステロイド補償療法に細心の注意が必要である.
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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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