糖尿病
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病態・代謝異常・合併症
2型糖尿病患者における血清総ビリルビン濃度と細小血管障害・大血管障害との関連について
田中 正巳伊藤 裕
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2012 年 55 巻 4 号 p. 243-248

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抄録

糖尿病患者における血清総ビリルビン(TB)濃度と血管障害との関連について検討した.血糖管理目的で入院した2型糖尿病患者171人(平均年齢63.2歳)のTB濃度を測定し,糖尿病性細小血管障害および大血管障害の有無で比較した.また目的変数として血清TB濃度を用い,重回帰分析を行った.さらに目的変数として細小血管あるいは大血管障害の有無を用い,ロジスティック回帰分析を行った.TBは網膜症,腎症,脳卒中,閉塞性動脈硬化症を有する症例では,合併しない症例と比べ低値であり,細小血管障害,大血管障害がTBの有意な説明変数であった.また細小血管障害発症の有意な説明変数としてTB,性,糖尿病罹病期間,収縮期血圧,喫煙が,一方,大血管障害発症の説明変数としてTBのみが選択された.TBと血管障害の間に関連がある可能性,そして高TB血症が2型糖尿病患者の細小血管,大血管障害に対し保護的に作用する可能性が示唆された.

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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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