糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
直径12 cmの巨大なインスリノーマと診断し,術後に内因性インスリン分泌の低下による高血糖を認めた1例
江口 透宮内 省蔵上野 義智清地 秀典松影 昭一
著者情報
キーワード: インスリノーマ, 低血糖
ジャーナル フリー

2013 年 56 巻 10 号 p. 775-780

詳細
抄録
症例は73才女性.2011年1月頃から空腹時の全身倦怠感あり.同年12月下旬の朝に意識障害を認め,当院救急搬送された.血清血糖値29 mg/dl,血清インスリン23.2 μIU/mlと低血糖を認め,ブドウ糖投与により意識障害は速やかに改善した.精査加療目的で入院となった.腹部造影CTで膵体尾部に直径6×10×12 cm大の腫瘍を認め,インスリノーマと診断した.2012年2月上旬に当院外科で膵体尾部切除術を施行した.病理結果はNeuroendocrine tumor(NET),low-grade(G1),免疫染色はInsulin(-/+),Chromogranin A(+)であった.術後,空腹時血清CPRは7.3 ng/mlから1.6 ng/mlに,尿中Cペプチドは51.8 μg/dayから10.1 μg/dayに低下した.またHOMA-βは27.3 %に,CPR indexは0.8にそれぞれ低下していた.インスリン分泌低下によると思われる高血糖を認め,強化インスリン療法を導入した.巨大なインスリノーマにおいて,術後のインスリン分泌低下を考慮する必要があると考えられた.
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top