2014 年 57 巻 12 号 p. 900-906
わが国の「リリーインスリン50年賞」は,2003年の第1回表彰開始以来2013年までに66名が受賞している.これら66名のうち東京女子医科大学糖尿病センターの受診患者は16名(24 %)(1型13名,2型2名,その他1名)であった.1型糖尿病患者13名の1983年から2013年のHbA1c平均値は8.4 %,高血圧の合併は10名(77 %),脂質異常症5名(38 %)であった.網膜症については網膜症なしが2名(15 %),過去に9名(69 %)に光凝固が施行されていたが,現在は増殖網膜症を一人も認めなかった.腎症は2期4名(31 %),3期2名(15 %)であったが,腎不全期の患者はいなかった.大血管症は4名(31 %)に脳血管障害,1名(8 %)に冠動脈疾患を認めた.極めて不十分なインスリン治療環境を乗り越え,糖尿病および糖尿病以外の多彩な疾患を有しながら,インスリン治療生活を送ってきたことが判明した.