2014 年 57 巻 4 号 p. 264-270
症例は56歳,女性.主訴は意識障害.6年前に糖尿病と診断された.5年前からインスリン治療を開始されたが,血糖コントロールは不良であった.入院1か月前から両下肢潰瘍を認め,翌月に意識障害が出現し,緊急入院した.左下肢潰瘍周辺の発赤,排膿を認め,著明な炎症所見を示した.左下腿蜂窩織炎及びそれに伴う敗血症性ショックと診断した.高度腎機能障害があり,入院3日目からダプトマシンの投与を開始したが,次第に呼吸状態の増悪,発熱及び肺野異常陰影の出現,末梢血,喀痰中の好酸球増多を認めた.肺水腫や嚥下性または細菌性肺炎との鑑別を要したが,ダプトマイシンの中止により,速やかな臨床症状の改善及び肺野異常陰影の消失を認め,ダプトマイシンによる好酸球性肺炎と考えられた.ダプトマイシン使用時には,呼吸状態の変化に留意し,急性好酸球性肺炎の可能性を常に念頭に置くことが重要である.