糖尿病
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症例報告
胃軸捻転症に対し胃瘻の造設にて症状の改善をみた2型糖尿病の2症例
永礼 智基長谷川 直子金谷 蔵人岡本 安生藤井 郁三三宅 一彰藤田 欣也中村 和史伊東 俊夫森田 須美春
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2015 年 58 巻 11 号 p. 827-834

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抄録
症例1は93歳男性.50歳時より2型糖尿病のため近医通院中であったが,80歳頃より突発する腹痛・腹満を頻回に自覚し数カ所の病院を救急受診していた.症例2は84歳女性.70歳時より2型糖尿病のため近医通院中であったが,80歳頃より突発する腹痛・腹満・嘔吐を認め当院を受診していた.これらの症例は詳細なCT画像の検討により胃軸捻転症と診断するに至った.さらに本疾患は開腹や腹腔鏡手術で治療されることが多いが,本2症例は捻転を防止するため胃瘻の造設で胃壁を固定した.これにより経口摂取再開後も再発を認めず,胃瘻の造設は手術に代わる有効な治療法と考えられた.胃軸捻転症は稀な疾患であるため,本疾患が念頭にない場合は画像をみても診断に至らない事が多い.また当院で経験した2症例とも2型糖尿病を合併していた.糖尿病患者で突発する腹痛や腹満といった症状を認めた場合,本疾患の可能性も念頭におくべきであると考え報告する.
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© 2015 一般社団法人 日本糖尿病学会
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