抄録
わが国における糖尿病診療の実態を把握するべく,1972年から10年間隔で合計5回実施したアンケート調査成績を比較した.調査は,過去4回に準じ,糖尿病に関心が高い全国2030の医療機関を抽出し,回答を得た887施設を対象に実施した.糖尿病の診断に関しては,30年前も今回も75 g-OGTTの判定基準は日本糖尿病学会の診断基準によるところが大半を占めた.診療報酬の改更により血糖自己測定導入率が増加し,持続皮下インスリン注入療法も4割弱の導入があった.過去40年間,糖尿病専門外来と糖尿病教室の実施率は高く推移してきたが,今回も開業医では大学・一般病院よりもその実施率は低く,専門スタッフも十分確保できているとは言えないために教育活動が難しく,その解決策として医療連携導入が前回は高率であったが,代わって今回は日本糖尿病協会活動への参画によって,教育活動の充実を図ろうとする動向が示唆された.