2016 年 59 巻 10 号 p. 706-712
過去30年間における糖尿病栄養指導の推移を把握するために,1982年から10年間隔で合計4回実施したアンケート調査結果を比較した.調査は,過去3回に準じて全国1,961の医療機関のうち回答を得た915施設を対象に実施した.管理栄養士・栄養士の雇用率と,個人指導の実施率は,過去30年間高い割合で推移した.日本糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator of Japan:CDEJ)の雇用率は,発足当初の10年前52.1 %,今回62.9 %であった.時間がかかる指導内容として,「糖尿病食事療法のための食品交換表の説明」と答えた施設の割合は30年前75.0 %,20年前58.8 %を占めたが,10年前37.6 %,今回は28.0 %になった.このことは,CDEJ資格取得のための教育効果によって管理栄養士・栄養士の知識・意欲が向上し,糖尿病栄養指導の在り方が変貌した結果として捉えられた.