糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬カナグリフロジン投与時の血中及び腎マグネシウム動態変動の意義
古山 士津子菊池 健次郎大堀 克己
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2017 年 60 巻 10 号 p. 700-708

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抄録

マグネシウム(Mg)は多くの酵素の補酵素で,Ca拮抗作用,抗酸化作用などを有する.糖尿病では,血清Mg(SMg)は低値をとり,これがインスリン抵抗性,腎症進展などに寄与するとされる.最近,SGLT2阻害薬によるSMg上昇が報告されているが,その機序はなお明らかではない.本研究では,その機序を2型糖尿病患者14例にSGLT2阻害薬カナグリフロジンを8.3ヶ月間投与し,その前後のSMgの変化をeGFR,尿細管のMg再吸収の指標である腎Mg排泄率(FEMg)との関連より検討した.その結果,有意にSMg,eGFRは上昇,FEMgは低下し,ΔSMg,ΔFEMgは,それぞれ前のSMg低値,FEMg高値例ほど大きく,また,ΔSMg大なる例ほど,FEMg低下度が大であった.以上より,2型糖尿病患者へのカナグリフロジン投与は,腎尿細管におけるMg再吸収増加を介してSMgを上昇させる可能性が示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
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