糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
疫学
80歳一般地域住民における糖尿病の生命予後への影響
園木 一男秋房 住郎福原 正代邵 仁浩粟野 秀慈安細 敏弘
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 60 巻 8 号 p. 515-523

詳細
抄録

日本人一般地域住民における80歳高齢者の生命予後に対する糖尿病の影響を明らかにするため,平成10年に内科・歯科検診を受診した福岡県北九州市とその近郊に在住する80歳666名の4年間および12年間の生存期間と死因(全死亡,肺炎死,循環器死,悪性腫瘍死)を糖尿病群74名(男性35名,女性39名),非糖尿病群592名(男性231名,女性361名)で比較した.12年間の追跡調査では,糖尿病群の生存率は全死亡と肺炎死で非糖尿病群より低かった.Cox回帰分析では,非糖尿病群に比し4年間で糖尿病群の全死亡が1.76倍,肺炎死が3.26倍,12年間で全死亡が1.84倍,肺炎死が2.97倍,悪性腫瘍死が2.42倍高かった.血糖コントロール不良群は非糖尿病群に比し4年間で全死亡のリスク,12年間で全死亡,肺炎死,循環器死のリスクが高かった.糖尿病は80歳高齢者においても予後規定因子である可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本糖尿病学会
次の記事
feedback
Top