糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
インフルエンザワクチン接種後に発症した急性発症1型糖尿病の1例
井上 光子鎌田 裕二坂東 慧田口 朋村田 秋穂新井 梨衣那佐々木 紗也加林 哲範高野 幸路七里 眞義
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 62 巻 4 号 p. 214-219

詳細
抄録

67歳男性.インフルエンザワクチン接種2日後に口渇を認め,1週間で体重が6 kg減少した.ワクチン接種9日後に受診し,空腹時血糖329 mg/dL,HbA1c 8.4 %,尿中ケトン3+,pH 7.430,HCO3 21.5 mmol/Lであり,糖尿病性ケトーシスで入院した.先行する上気道症状はなく,受診19日前はHbA1c 5.7 %であった.入院時,膵外分泌酵素は上昇し膵島関連自己抗体はZnT8抗体のみ陽性であった.尿中CPR 22.4 μg/日,グルカゴン負荷試験でCPR前値0.54 ng/mL,6分値1.15 ng/mLと,内因性インスリン分泌は枯渇せずに留まっていた.HLAタイピングは自己免疫性1型糖尿病の疾患抵抗性を示すDQB1*06:01:01/06:02:01であった.本症例は劇症1型糖尿病に類似し,発症にインフルエンザワクチンの関与が示唆された急性発症1型糖尿病である.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top