2020 年 63 巻 12 号 p. 802-810
1998年から2015年の間でインスリン開始後にGAD抗体の陽転化を認めた緩徐進行1型糖尿病12例の自験例について,陽転化後の抗体価と空腹時血清Cペプチドの変動を調べた.観察期間の中央値(範囲)は8.9(6.5-13)年で,観察終了時のGAD抗体は7例が陽性,5例が陰性であった.抗体価の変動パターンから,①RIA法陽転化後も陽性が持続し最終的にELISA法で抗体価2000 U/mL以上となった群(n=3),②RIA法陽転化後も陽性が持続し最終的にELISA法またはELISA法換算で抗体価100~300 U/mLとなった群(n=2),③RIA法陽転化後に一過性のRIA法陰性化またはELISA法陰性を認めた群(n=7)に分類したところ,①群の3例は観察期間中に空腹時血清C-ペプチドがインスリン欠乏レベル(0.6 ng/mL未満)まで低下したが,それ以外の症例では低下を認めなかった.