糖尿病
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症例報告
糖尿病治療が降圧薬治療より十数年先行しインスリン低分泌を呈した褐色細胞腫/パラガングリオーマの2例
小野寺 謙高橋 義彦千田 愛橋本 朋子長澤 幹冨樫 弘文川島 智美千葉 拓瀬川 利恵梅邑 晃佐藤 綾香石田 和之菅井 有佐々木 章石垣 泰
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2021 年 64 巻 4 号 p. 284-290

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抄録

褐色細胞腫はしばしば耐糖能障害を合併し,病態にはインスリン抵抗性と分泌抑制の関与が指摘されているが,糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を発症する例はまれである.我々は糖尿病の診断と薬物治療が高血圧治療に十数年先行し,経過中に診断されたパラガングリオーマ1例と褐色細胞腫1例を経験した.前者はケトーシスの既往はないがインスリン依存レベルのCペプチド低値を認め,後者は典型的な褐色細胞腫クリーゼを伴わない糖尿病ケトーシス・DKAを発症しketosis-proneの状態であった.組織学的にソマトスタチン陽性細胞は少数で,その他既報の褐色細胞腫合併DKAに認められる特異な病態を認めなかった.術後は2例ともインスリン分泌が改善したもののインスリン治療の継続を要した.インスリン低分泌を特徴とする糖尿病に誘因の明らかでないDKAを認めた場合,本疾患が鑑別診断の一つとなることが示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本糖尿病学会
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