2021 年 64 巻 8 号 p. 450-459
慢性合併症発症抑制のため2012年10月浜松地域のHbA1cを収集し治療状況を調査した.その後新規薬剤の導入や目標HbA1c値が示され2019年に再調査し2012年と比較した.調査1:2019年10月外来患者のHbA1c 平均HbA1cは一般診療所6.87 %で2012年より高く,専門施設7.15 %で2012年より低かった.調査2:HbA1c8 %以上の2型糖尿病 2012年と比べて平均年齢が一般診療所で4歳,専門施設で2歳上昇した.加齢でBMIは低下した.HbA1cが高い方が若年でBMIが高く2012年と変化なかった.専門施設でインスリン,両施設でSU薬の使用が減少した.両施設でDPP4阻害薬,SGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬の使用が増加した.低血糖や体重増加をきたさず血管合併症発症抑制が期待できるようになったが,比較的若い肥満患者の治療と高齢患者のフレイル予防が今後の課題である.