糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
病態・代謝異常・合併症
糖尿病専門医の脂肪肝・肝癌スクリーニングの現状と課題 長野県糖尿病専門医を対象としたアンケート調査
西森 栄太尾形 哲小林 聡尾下 雄紀依田 淳仲 元司田中 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 65 巻 7 号 p. 369-376

詳細
抄録

本研究では糖尿病専門医の脂肪肝・肝癌の診療の現状および課題を明らかにするため,長野県の糖尿病専門医に対してアンケート調査を行った.特に,糖尿病との関連が大きい非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を対象とした.専門医69名中44名(64 %)から回答を得た.肝逸脱酵素および血小板の測定頻度は回答者の約90 %が6ヶ月以内としていたが,FIB-4 index算出は64 %にとどまっており,エビデンスと診療のギャップが認められた.画像検査は73 %が自施設で実施しており,その割合は病院勤務医で有意に高かった.糖尿病からの肝癌は半数以上が経験し,消化器病専門医との連携の提案があった.本研究から,糖尿病専門医へのNAFLD線維化スクリーニングの周知と実施,画像検査を含めた評価システムおよび消化器病専門医との連携の必要性が明らかとなった.糖尿病専門医がNAFLDを診療する意義・役割は大きいと考えられた.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top