2023 年 66 巻 11 号 p. 773-782
COVID-19緊急事態宣言下の大阪府で,無料低額診療事業を実施している外来に通院中の糖尿病患者に不安・恐怖,睡眠,運動,食生活の変化と経済状況,社会的孤立の健康の社会的要因(SDH)に関するアンケート調査を実施し,HbA1c・体重への影響を検討した.第1回目(2020年6月~8月)705名,第2回目(2021年9月~10月)632名について解析した.不安や恐怖を感じることが増え(1回目75.3 %,2回目72.2 %),運動・外出頻度が減り(1回目76.9 %,2回目76.2 %),周囲の人との会話が減っていた(1回目41.3 %,2回目53.1 %).HbA1cは有意差なく,体重は有意に減少していた(p<0.01).また,60歳未満,無料低額診療者では経済的困窮を感じる割合が有意に多く(p<0.01),COVID-19禍において,社会経済状況に配慮し診療を行うことが必要であると考えられた.