2023 年 66 巻 3 号 p. 199-207
糖質の過剰摂取は肥満や2型糖尿病を増加させ,糖尿病患者の血糖管理を悪化させる.本研究では,19人の健常成人を対象に,カロリー算出に係る糖質量が100 g当たり5 g未満を満たす低糖質ケーキ摂食後の糖・脂質代謝に及ぼす影響を通常ケーキ摂食後と比較するランダム化単盲検プラセボ対照群間比較試験を行った.主要評価項目の食後60分の血糖値に有意差はなかったが,副次評価項目の血糖およびインスリンの食後30分値,上昇曲線下面積および最大増加量は低糖質ケーキ群が有意に低かった.活性型GLP-1は,食後60分以後に低糖質ケーキ群で有意に高かった.遊離脂肪酸が食後90分以後に低糖質ケーキ群で高かったが,食前からの上昇はなかった.中性脂肪,RLP-C,ApoB-48に群間差はなかった.以上より,健常成人において低糖質ケーキは血糖上昇を抑え,活性型GLP-1濃度を上昇させた.長期摂食による健康影響は今後の課題である.