2024 年 67 巻 10 号 p. 443-450
経口セマグルチドの実臨床における有効性と安全性に関して,2型糖尿病患者103例において後方視的に調査した.投与前と比較して,体重,BMIは1ヶ月後および3ヶ月後に,HbA1cは3ヶ月後に有意な低下を認めた.DPP-4阻害薬から切り替えた69例において,HbA1c値は1ヶ月後には有意な変動は認めなかったが,3ヶ月後には有意な低下を認めた.その中でも1ヶ月後以降に経口セマグルチドを増量した32例では,1ヶ月後から3ヶ月後にかけてHbA1c値の有意な低下を認めた.3ヶ月間を通して,嘔気を14例,嘔吐を6例,下痢を5例に認めたが,1例を除いて投与継続は可能であった.実臨床においても経口セマグルチドは体重,BMI,HbA1cの低下効果を示し,DPP-4阻害薬からの切り替え例においても増量することにより同様の改善効果が認められ,2型糖尿病の新しい治療法として期待される.