糖尿病
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糖尿病性腎障害における尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidaseと血中・尿中β2-microglobulinの臨床的意義
皆上 宏俊中山 秀隆青木 伸小森 克俊黒田 義彦牧田 善二種田 紳二三沢 和史織田 一昭栗原 義夫工藤 守中川 昌一
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1983 年 26 巻 2 号 p. 111-118

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抄録
糖尿病性腎障害の早期診断の指標としての有用性を検討する目的で, 糖尿病患者103名の尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase活性, 血中・尿中β2-microglobulinおよび尿タンパクの微量測定を行った. 糖尿病患者における腎障害では, まず尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidaseの上昇が起こり, 次いで尿タンパクの増加, 最も遅くβ2-microglobulinの高値化と進展するものと考えられた. 血中β2-microglobulinは血清クレアチニンと良好な相関を示し, かつその変動幅も大きいことから, 腎障害の経過観察の指標として有用と考えられた. 尿中β2-microglobulin/尿タンパク量およびβ-microglobulinクリアランス/クレアチニンクリアランスより尿細管機能について検討したが, 糖尿病者では約20%の症例でこれらに異常を認め, とくに尿細管細胞障害の指標であるN-acetyl-β-D-glucosaminidaseの著明高値の患者で高頻度であった. 糖尿病性腎障害における尿細管障害については今後の検討が必要と考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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