抄録
ラット顎下腺のacid saline extract (ASE) には強力な125-Iグルカゴンの破壊酵素が含まれている.本研究ではASEの125I-グルカゴンのみでなく, 125I-pancreatic polypeptide (PP) ならびに125I-インスリンに対する作用を検討し, また種々のproteinase inhibitorの効果を研究した.ASEは通常のホルモン免疫学的測定条件では125-Iグルカゴンのみでなく125I-PPをも破壊したが125I-インスリンは破壊しなかった (TCA法).leupeptinは上記の強力なproteinase inhibitorでありp-chloromercuriphenylsulfonic acid (PCMS) ならびにN-ethylmaleimidel, こも抑制作用がみられた.PCMS16mMは125I-グルカゴンの破壊をほとんど完全に抑制した.これらの事実は孵置液のゲル炉過によっても確認された.leupcptin 0.4mMならびにPCMS 16mMが存在する時には125I-グルカゴンならびに125I-PPのピークの移動はみられなかった.以上ASEは125I-グルカゴンのみでなく125I-PPをも破壊し, thiol proteinase inhibitorはこれらの125I-peptideの破壊を抑制した.