糖尿病
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膵性糖尿病における血中アポ蛋白濃度
筒井 理裕小沼 富男落合 滋朴 明俊梁田 敦子今村 憲市上原 修武部 和夫
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1987 年 30 巻 6 号 p. 543-548

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抄録

膵性糖尿病患者8名 (P群) の血中アポ蛋白濃度について一次性糖尿病患者23名 (D群) および健常成人13名 (C群) と比較検討した. アポ蛋白BはP群 (80±10mg/dl, mean±SD) がD群 (107±28mg/dl) と比べて有意に低値であった. アポ蛋白Bとアポ蛋白AI, あるいはAIIとの比であらわしたアポ蛋白動脈硬化指数はP群 (0.68±0.22, 2.63±0.87) がD群 (0.98±0.44, 3.82±1.43) と比べて低値であり, C群とは近似していた. これらは膵性糖尿病が一次性糖尿病と比べて血中アポ蛋白の面で抗動脈硬化的な病態にあることを示唆する成績であり, 膵性糖尿病に動脈硬化性病変の合併が少ないとする疫学的成績を裏付け得た. 低比重リポ蛋自コレステロールとアポ蛋白Bとの間にはいずれの群においても有意な正の相関関係がみられ, また両者の比には3群間で差がみられなかった. アポ蛋白CII, CIII, EにはP群とD群との間で差がみられなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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