糖尿病
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糖尿病患者における血清フルクトサミン濃度測定の意義
腎不全, 肝硬変, 甲状腺機能異常の影響
迫 康博梅田 文夫橋本 俊彦井口 登与志三村 和郎國崎 真田尻 祐司石井 英博山下 司山内 照章名和田 新
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1988 年 31 巻 12 号 p. 929-935

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抄録

糖尿病によく合併する病態でかつ血清蛋白代謝異常をきたす腎不全, 肝硬変症, 甲状腺機能異常症において血清fructosamine (以下, FRAと略す) を測定し, 臨床的意義を検討した.血液透析中の非糖尿病性腎不全患者のFRAは健常者に比し有意に低値であったが, 血清蛋白濃度で補正すると有意差を認めなかった.肝硬変症患者のFRAは健常者と有意差を認めなかったが, 高ビリルビン血症合併例では有意の高値を認めた.甲状腺機能亢進症のFRAは健常者に比し有意に低値であり, 一方, 甲状腺機能低下症では有意の高値を認めた.さらにFRAは甲状腺ホルモン (T3, T4) 値との間に有意の負の相関を認めた.以上よりFRAは腎症あるいは肝硬変症を合併した糖尿病患者においても有用と考えられるが, 低蛋白血症や高ビリルビン血症あるいは甲状腺機能異常症を合併した糖尿病患者では血糖コントロール状態を必ずしも反映しない可能性があり留意すべきであることを指摘した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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