糖尿病
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膵島細胞膜抗体 (ICSA) の多様性について
高齢者におけるICSAの検討
大萩 晋也南條 輝志男川口 篤則中井 一彦西 理宏曽和 亮一宮野 元成近藤 溪三家 登喜夫柏井 健作小池 通夫川 明宮村 敬
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1988 年 31 巻 8 号 p. 701-707

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抄録
インスリン依存型糖尿病 (IDDM) 患者49名, インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) 患者127名, 健常者112名において膵島細胞膜抗体 (ICSA) と抗甲状腺抗体 (ATA) を測定し, うち70歳以上の高齢者60名に75g経ロブドウ糖負荷試験 (OGTT) を施行した.ICSAは間接螢光抗体法により測定した. (1) IDDMでは, ICSAは発症1年未満で高率 (50%) に検出されたが, 罹病期間5年以上では全例陰性となった. (2) NIDDMおよび健常者では加齢とともにICSA陽性率が上昇し, 70歳以上ではNIDDMで33%, 健常者で37%に達した. (3) 高齢者60名ではIDDMの場合とは異なり, ICSA陽性はATA陽性と高率に一致するものの, 75g OGTTによる耐糖能異常とは相関性を認めなかった.以上より, 高齢者でのICSAは加齢に伴う免疫異常により出現し, 膵ラ氏島障害性を有さないことが示唆され, IDDMでのICSAとはその性状を異とするものと考えられ, ICSAの多様性の存在が強く示唆された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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