糖尿病
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境界型耐糖能者の冠危険因子
冠動脈造影施行正脂血症男性における検討
藤原 隆一久津見 恭典林 多喜王玉井 利孝金 秀樹三澤 利博多田 浩中井 継彦宮保 進
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1989 年 32 巻 12 号 p. 853-857

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抄録
冠動脈造影により冠動脈硬化 (CAD) を評価した正脂血症男性で, 日本糖尿病学会の判定基準上耐糖能が境界型を示した41名において, その冠危険因子について検討した. 正常冠動脈 (NCA) 群13名とCAD群28名の2群間で, 年齢・肥満・喫煙・高血圧の有無に差をみなかった. CAD群はNCA群に比し血漿総コレステロール・トリグリセリドは有意に高値, HDL-コレステロールは有意に低値であった. またCAD群で有意な血漿アポA-1の低値, アポBの高値を示した. 経ロブドウ糖負荷試験でCAD群はインスリン分泌亢進が認められた. 重回帰分析で, 血漿アポA-1およびアポBがCAD重症度を示すCADscoreの有意な説明変数とされた. 以上の結果より, 境界型耐糖能を示す正脂血症男性では脂質・アポ蛋白代謝異常, 高インスリン分泌がCAD進展に重要な役割を果し, 特に血漿アポA-1・アポBレベルがCAD重症度を示す良い判別指標となるものと考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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