糖尿病
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妊娠経過中に初めて認められた耐糖能異常 (妊娠糖尿病) の背景と推移
真山 享吉岡 成人高井 正子
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1989 年 32 巻 12 号 p. 867-872

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抄録

初めて耐糖能異常を指摘された妊婦 (GDM) の分娩前後の耐糖能・インスリン初期分泌能の推移, 並びに危険因子について検討した. 759ブドウ糖負荷試験 (OGTT) により, 境界型以上を示した93名のGDMを対象とし, 診断時と分娩後1週間以内にOGTTを行った. 平均年齢32.2±4.6歳 (mean±SD), 糖尿病家族歴は42%に認められた. GDM診断時に比較して, 分娩後の空腹時血糖 (FPG), 2時間血糖 (2hpG) は有意に低下し (P<0.001), 40.8%が正常となった. インスリン初期分泌 (△30'IRI) は逆に低下した (P<0.01). 糖尿病家族歴を有する35歳以上のGDMでは△30IRI, InsulinogenicIndexが低下しており, 糖尿病家族歴の無い34歳以下のGDMでは分娩後耐糖能の改善は著明で, △30'IRI, Insulinogenic Indexの値も良好であった. GDMの発現及び予後には糖尿病家族歴と高年妊娠が危険因子となり, インスリン初期分泌能の抵下とインスリン抵抗性の関与が示唆された. また専門外来でGDMを管理することにより, 血糖は良好にコントロールされ, 異常分娩の頻度も低値であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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