1989 年 32 巻 2 号 p. 85-89
臨床的蛋白尿のない, 罹病早期のIDDM小児54名における尿中アルブミン排泄量 (UAI) の断面調査と, 22例においては3年間の経過観察を行なった. 1) 正常者の平均値+2SD以上をmicroalbuminuriaとみなすとIDDM小児の20%にmicroalbuminuriaを認めた. 2) UAIは過去1週間の平均血糖, HbA1c, 尿中N-acelyl-β-D-glucosaminidase (NAG) と相関しなかった. 3) 初年度microalbuminuriaを呈した6例中5例は3年後に正常域に戻ったが, 全体でみると初年度高値例は3年後も高い傾向を示した. 4) コントロールの良否に時間の因子を加えた新指標 (HbA1c×罹病期間) が大である程, 初年度または3年後のUAIが高値であった. 結論: 罹病早期IDDM小児の20%に一過性にしろmicroalbuminuriaを認め, その要因として短期間の高血糖より長期間の高血糖状態が示唆された.