糖尿病
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インスリン依存型糖尿病における血糖コントロールに及ぼすAcarboseの効果
人工膵島による検討
伊藤 景樹三村 明野村 幸史鶴岡 明佐々木 敬斉藤 茂景山 茂池田 義雄
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1989 年 32 巻 8 号 p. 573-577

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抄録

α-glucosidase阻害剤であるAcarboseの血糖コントロールに及ぼす影響を検討するため, インスリン依存型糖尿病8例を対象とし, Acarbose 100mg (以下A) あるいはプラセボ錠 (以下P) を各食前に経口投与し人工膵島 (Biostator®) によるfeedback controlの成績を比較した. 各食前から食後3時間までのインスリン需要量はAでは朝食14.8±1.5U, 昼食9.4±1.1U, 夕食11.1±1.2Uであり, Pでの朝食18.9±1.8U, 昼食12.9±1.2U, 夕食14.3±1.0Uに比較し昼食と夕食において有意に低下した. 食事開始より食後最高血糖値に達する時間はAでは朝食145±27分, 昼食133±27分, 夕食136±22分であり, Pでの朝食68±7分, 昼食72±18分, 夕食93±13分に比較し朝食と昼食において有意に延長した. 人工膵島を応用してAの糖質吸収抑制作用を検討した結果, A投与時には食後血糖の上昇が緩やかになり, 人工膵島によるインスリン需要量の減少を認めた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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