糖尿病
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実験的糖尿病ラットにおけるVasopressinのケトーシス抑制作用
日比 晶
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1989 年 32 巻 8 号 p. 585-591

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抄録

高浸透圧性非ケトン性昏睡の病態におけるvasopressin (VP) の関与を明らかにする目的で, 糖尿病および正常対照ラットにVPを2時間持続注入し, 血中ブドウ糖, ケトン体, FFA, グリセロール, グルカゴンおよびインスリンを測定した. 高濃度VPの持続注入 (1.2U/kg/時) にて血糖は63%, グルカゴンは600%上昇, ケトン体は30分で22%の低下を示したあと前値へ復した. 低濃度VP注入 (0.06U/kg/時) では血糖, グルカゴンは上昇せず, 対照の生食負荷で認められたケトン体上昇は抑制された. VPとソマトスタチン (100μg/kg/時) の同時注入下ではグルカゴン分泌は抑制され, 血糖は25%上昇, ケトン体は30%の有意の持続性低下を示した. FFAは血中ケトン体の低下と必ずしも平行せず, VPによるケトン体の低下は肝における産生の抑制と想定された. これらのことは, VPが非ケトン性昏睡の病態に関与している可能性を示すものと考えられる

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