糖尿病
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小児期発症IDDMの居住地の地域特性と生命予後との関係
春日 伸予田嶼 尚子松島 雅人北川 照男Ronald E. PorteDERI研究班
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1992 年 35 巻 5 号 p. 391-396

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抄録

小児期発症IDDMの生命予後と患者の居住地の地域特性 (都市性・農村性, 所得の多寡) との関係を検討した. 対象は, 1965~79年に全国で診断され, 1990年1月1日現在の生存状況が判明した18歳未満発症IDDM 1217例である. この1217例から死亡78例 (case群) と性および診断年をマッチさせた生存78例 (control群) を抽出し, case-control studyを行った. 地域特性の指標は, 人口密度, 農家人口の割合, 平均所得指数を用い, case群とcontrol群の間での指標値の差をWilcoxon順位和検定により分析した. その結果, 全ての指標値が有意差を示し, 都市部および所得の高い地域に在住している症例の方が生命予後が良いことが明らかになった. したがって, 今後, 都市部と農村部および所得の高い地域と低い地域の間での, 患者を取りまく環境の違いとその生命予後への影響を検討する必要があると考える. また, さらに, 独り住まいかどうか等の患者自身の特性についても検討することが重要であろう.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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