糖尿病
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NIDDMにおける糖尿病性腎症の危険因子, 特に高Lp (a) 血症の意義
紀田 康雄柏木 厚典江端 一彦杉本 俊郎羽田 勝計吉川 隆一繁田 幸男
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キーワード: NIDDM, 腎症, Lp (a), 危険因子
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1993 年 36 巻 10 号 p. 763-770

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抄録

LP (a) は冠動脈硬化の危険因子の一つとして注目されている. 最近では糖尿病患者でもLp (a) が高値であるとする報告が増えているが, 血管合併症に及ぼす高Lp (a) 血症の意義は明らかではない. 今回は断面調査により糖尿病性腎症とLp (a) の関係を検討した. 235例のNIDDM患者 (DM群) と105例の健常者 (C群) のLp (a) を測定した. DM群は正常アルブミン尿群 (N群) と微量アルブミン尿群 (M群), 顕性腎症群 (P群) の3群に分けた.
1) DM群のLp (a) はC群より有意に高値であり, かつ女性が男性より有意に高値であった. 2) DM群では男女ともにP群のLp (a) はN群より有意に高く, 男性ではM群のLp (a) もN群より有意に高値であった. 3) 判別分析で顕性腎症とは高血圧, Lp (a), 糖尿病罹病歴が関連を認め, Lp (a) が腎症の独立した危険因子である可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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