糖尿病
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自律神経障害と潜在的心機能障害を有するミトコンドリア遺伝性糖尿病の1例
鈴木 吉彦縦山 幸彦渥美 義仁片桐 秀樹門脇 孝岡 芳知細川 和広木村 満松岡 健平
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1995 年 38 巻 1 号 p. 39-44

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抄録
多彩な自律障害系の愁訴を持つミトコンドリア (以下Mtと略す) 遺伝性糖尿病の1例を報告する. 症例は48歳, 女性. 38歳で糖尿病を発病し, 以後原因不明の起立性低血圧や膀胱障害を有した. また不定の胸部症状があったが心エコーや心電図で異常を認めなかった. その後, 末梢白血球にてMtのDNAの3243位変異が確認された. また123I-labeled beta-metyl-iodophenyl peatadecanoic acid (以下123I-BMIPPと略す) 心筋SPECT検査で側壁, 下壁, 心尖部に欠損を認め心筋内脂肪酸代謝障害が示唆されたが, その後, CoenzymeQ10治療後に異常所見は消失し顕著に改善した. 以上より, 123I-BMIPP検査はMt遺伝性糖尿病の潜在的心機能異常発見に有効であり治療効果も反映しうる事が分かった. また, 本例はMt遺伝性糖尿病でも自律神経愁訴をもつまれな例と考えられるが, 今後, このような患者には循環器系にMt性の異常が潜在する可能性に留意すべき事が示唆された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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