糖尿病
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糖尿病性ケトアシドーシスに成人呼吸窮迫症候群 (ARDS), DIC, Leucopeniaを合併したインスリン依存型糖尿病の1剖検例
浅野 有布井 清秀篠原 規恭平田 幸正中島 裕浦上 秀一藤島 正敏
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1995 年 38 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

症例は37歳のIDDMの女性. 1993年2月5日頃から感冒様症状が出現し, 嘔気のためインスリン32単位/日を中止. 2月10日呼吸困難感のため入院. 微熱と多呼吸を認めたが, 血圧, 意識は正常. 血糖501mg/dl, PaO2 99.7mmHgで代謝性アシドーシス, 白血球数増多, CRP強陽性を認めた. 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) の治療開始後, 呼吸困難感は増強し, 治療開始8時間後より低酸素血症, 白血球減少症が, 12時間後には血小板低下と肺水腫様所見が出現し, 呼吸管理を行ったが約35時間後に死亡. 剖検では, 肺水腫が著明で, 気管支肺炎およびmicroabscessを認めた. 本例は, 急速に成人性呼吸窮迫症候群 (ARDS), DIC, Leucopeniaを合併し, その原因として感染症に加え, 糖尿病による肺毛細血管内皮障害, 高血糖による血液の過凝固状態, 白血球の肺への集積などの機序が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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