糖尿病
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HbA1c測定標準化における測定機種間の誤差とその問題点
小林 基章雨宮 伸石原 俊秀小林 浩司沢登 恵美東田 耕輔中澤 眞平岡橋 美貴子星野 忠夫
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1995 年 38 巻 9 号 p. 679-687

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抄録

糖尿病患者の血糖管理の指標にHbA1c 7%未満が掲げられて久しく, またDCCTの前向き研究の報告もこれを裏付けている. しかし本測定での施設 (機種) 間誤差は大きいので, 我々は1種の免疫法と, HbA1cの不安定分画を除去した3種のHPLC法の計4測定法を用い糖尿病患者検体と凍結乾燥ヘモグロビンを測定し, 2点較正の妥当性について検討した. 患者検体のHbA1c測定結果は各機種で比較すると最大1%以上の差を認めた. この測定値は患者検体の相関式を用いほぼ誤差なく補正され, 2点較正でも概ね許容される範囲に補正されたものの, 2点較正では低値域 (基準値域) での補正が不十分となることが示された. 今回の検討からは測定機種間のHbA1cの認識特性, または凍結乾燥標本の組成から2点較正では相互に較正不十分となる場合が少なくないことが示された. 以上より日本糖尿病学会の標準凍結乾燥標本による2点較正の勧告はHbA1cの標準化に果たす役割は大きいが, 検討された2機種の使用のみに可能と考えられる. DCCTでの目標HbA1c値7%未満とはどのような測定系をもとに提示されたかの背景を考察し, 多測定機種および国際的な比較も可能な較正法の確立が必要と考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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