糖尿病
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EBウイルス感染が原因と考えられ, 非定型抗酸菌症を合併したIDDMの1例
広川 泰嗣住友 正治八幡 愛弓河合 洋二郎米田 正也松木 道裕尾山 秀樹西田 聖幸堀野 正治安東 千代
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1996 年 39 巻 10 号 p. 803-808

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抄録
症例は66歳, 女性.1993年10月に頭痛, 発熱をきたし, 近医にて治療を受けた. しかし, 症状は軽快せず, 約2週間後に糖尿病性ケトアシドーシスを発症し, 当院に入院となった. 抗核抗体が陽性. EBウイルス抗体価が上昇. 好酸球が増多. リンパ球刺激試験にてフロモキセフが陽性. 便培養および気管支鏡検査後の喀痰培養にて非定型抗酸菌が大量に検出された. HLAのタイピングは, A: 3/24 (9), B: 44 (12)/61 (40), Cw:5/-, DR: 1/6, DQ: 1/-. ラ氏島抗体は陰性であった. 入院中は数日を除き, 尿中CPRは1μ9/日以下, グルカゴン負荷試験での血中CPRは無反応であった.
本症例は, EBウイルス感染症が主原因として発症したIDDMと思われた. また, 低栄養状態から感染したと思われた非定型抗酸菌症と, 免疲機能の変化を合併した興味深い症例と考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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