糖尿病
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特発性尿崩症の経過中に糖尿病性ケトアシドーシスを合併した1症例
吉田 敬規梶原 進本村 光明瀬戸口 洋一水田 敏彦原 俊哉福島 範子和田 郁子山本 匡介堺 隆弘
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1996 年 39 巻 12 号 p. 919-923

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抄録

症例は44歳男性. 平成元年, 多飲多尿を主訴に来院し, 特発性尿崩症と診断されDDAVP点鼻により治療を開始されたが自己中止した. 平成6年10月頃より口渇が強まり, 清涼飲料水を毎日8Lほど飲水し, 翌年1月に意識障害にて当院救急外来を受診した. 血糖1025mg/dl, HbA1c 15.6%, pH7.19, pCO2 19.2mmHg, PO2 107.8mmHg, HCO3 7.1mMol/l, 尿ケトン体 (3+) であり, 糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) と診断し, 脱水の補正およびインスリン投与を行った. 血糖は正常化し, 入院2週間後には血中C-peptideも次第に改善, 6週間後には759OGTTでは境界型を示すのみとなった. 入院時のDKAから回復しても続いていた1日7-8Lの尿量は, DDAVP点鼻の再開により1日2-3Lに減少した. 耐糖能異常に過度の糖分摂取が高血糖をきたし, 特発性尿崩症と相まって一過性のインスリン分泌不全とケトアシドーシスを起こしたと考えられる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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