糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
グリコヘモグロビンの標準化に関する委員会報告 (IV)
島 健二遠藤 治郎老籾 宗忠大森 安恵片山 善章金澤 康徳河合 忠河盛 隆造菅野 剛史清瀬 闊桑島 正道中島 弘二永峰 康孝馬場 茂明星野 忠夫
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 40 巻 5 号 p. 321-326

詳細
抄録

第3回グリコヘモグロビン (GHb) 精度管理調査 (1995年9月実施) の結果, GHb測定値の施設問差の原因として不安定分画の未除去, 日本糖尿病学会の標準品 (JDS) を用いての補正の不徹底などが明らかになった. これらに対して改善策を講じた結果の評価および前回調査時以後に臨床使用されるようになった測定法による測定値の施設間差の実態をも明らかにするため, 第4回GHb精度管理調査 (1996年9月実施) を行った. この際濃度の異なる全血検体2検体および凍結乾燥血液2検体を測定検体として用いた. 1, 879施設のうち, 最終的評価は1, のようであった.
1. 全データをまとめての施設問差, CVは6. 0%~8. 6%であった.
2. 測定法別CVはHPLC法3.3%~5.4%, 免疫法6.2%~7.7%, Affinity法7.0%~7.9%であった. Affinity法による測定値はいずれの試料の場合も, 他の2法の測定値に比し, 明らかに高値であった. また, ある種の免疫法での凍結乾燥品検体の測定値が他法の値に比し, 低値であった. これらの測定値を除いた場合, 残りの全測定値のCVは4.6%~6.2%と臨床的許容範囲内の数値となった.
3. JDS標準品, あるいはそれに準拠して値付けした標準晶を用いて=補正した測定値の施設間差, CVは5. 8%~6.2%, 一方, それ以外の方法で補正した場合のCVは6.4%~11.9%であった.
4. 各施設が採用している基準範囲の上限値が5.8%以下, 5.9%~6.0%, 6.1%以上の施設の割合は, それぞれ62.7%, 17.7%, 19.7%であった.
特定の測定法を除去した残りの測定値の施設間差はほぼ臨床的許容範囲内に集束されてきた. 特定の測定法について, 補正に用いる標準品の改良も含め, 補正の適正化をはかる必要がある.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事
feedback
Top