糖尿病
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軽症糖尿病で腹壁膿瘍を併発した気腫性胆嚢炎の1例
松浦 文三松浦 恵美子酒井 武則恩地 森一
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1997 年 40 巻 6 号 p. 363-368

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抄録

症例は, 70歳, 女性. 平成7年5月初め頃から発熱, 右季肋部痛が出現し, 右季肋部腫瘤も出現したため, 当院に入院した. 糖尿病の既往歴なく, 家族歴もなし. 身長146cm, 体重49kg, BMI23. 昼食前血糖214mg/dl安定型HbA1c6.3%と軽症糖尿病状態であった. 糖尿病性腎症, 網膜症, 神経症なし. 腹部US, CTにて, 肝内胆管, 総胆管の気腫, 胆嚢内結石, 胆嚢気腫, および胆嚢と連続する腹壁膿瘍を認め, ただちに経皮的経腹壁膿瘍的胆嚢ドレナージ術を施行した. 大腸菌感染を伴う膿性胆汁を認めた.上部消化管内視鏡内視鏡的胆管膵管造影, チューブ造影にて傍乳頭憩室, 胆嚢十二指腸瘻を認めた. 以上から, 腹壁膿瘍を併発した気腫性胆嚢炎と診断した. 糖尿病では時に胆嚢内結石を合併するが, 結石の嵌頓から気腫性胆嚢炎をきたすと予後不良であるため, 厳重な経過観察, 病態に応じた迅速な処置が必要と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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