糖尿病
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初診時にバセドウ病を合併した1型糖尿病の臨床的検討
渋谷 雄平
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1999 年 42 巻 11 号 p. 903-907

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抄録

初診時に甲状腺機能亢進症を合併した1型糖尿病の5例の臨床的特徴, 各種自己抗体およびHLAについて検討を行った. 男性4名, 女性1名と男性が多く, 甲状腺機能亢進症はいずれもバセドウ病が原因であった. 抗GAD抗体は全例陽性で, 2例は1,000U/ml以上と著明高値であった.ICAも全例陽1生で, 抗インスリン抗体は2例陽性であった. 尿中Cペプチド排泄量とグルカゴン負荷試験の結果では, 1例が内因性インスリンの著減によるインスリン依存状態, 4例が内因性インスリン分泌の保持されたインスリン非依存状態を呈していた.HLAは全例に共通してB61, DR9, DQ3を認め, 自己免疫性甲状腺疾患と1型糖尿病におけるDR9haplotypeとの関連性が示唆された. 初診時は甲状腺機能亢進状態にもかかわらず, 頻脈がみられなかった. 体重減少が著しい場合には, 糖尿病だけでなくバセドウ病の存在を疑い, 甲状腺機能も検索すべきことを示唆した5症例であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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