1999 年 42 巻 7 号 p. 495-502
高インスリン血症と心血管疾患危険因子との関連を明らかにすべく, 住民検診 (2, 114名, 平均59.3歳) の成績から検討した. 早朝空腹時に身長, 体重およびbody mass index (BMI), 安静坐位血圧 (SBP, DBP), 皮下脂肪厚 (SF), 総コレステロール値 (TC), トリグリセライド値 (TG), β-リポ蛋白値 (β-LP), HDLコレステロール値 (HDL) を測定, 同時に経口糖負荷試験を施行し, 各時相の血糖値, インスリン値をそれぞれ測定した. 耐糖能障害のある群では高血圧, 肥満, 高脂血症の頻度が有意に高かった. また120分後インスリン値 (120IRI) 3分位3分割の高値の群ではSBP, TC, β-LP, FPG, BMI, SFが有意に高値であった. SBP, TC, FPG, BMI, HDLをそれぞれ目的変数とする重回帰分析の結果いずれも120IRIが説明変数として採択され, 血漿インスリン値は心血管疾患危険因子と密接に関連していることが示された.