糖尿病
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新しい糖尿病診断基準の有効性の検討
WHO診断基準との比較
柴崎 智美永井 正規高科 成良
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1999 年 42 巻 8 号 p. 679-683

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抄録

厚生連廣島総合病院が実施した成人病検診で, 経口糖負荷試験を受検した広島県西部農村地域に居住する2, 562人 (女1, 563人, 男999人) を対象として, 糖負荷試験の結果を, 従来の World Health Organization (WHO) の基準および1997年にアメリカ糖尿病学会専門委員会が提案した空腹時血糖を用いた新基準を用いて判定した. 新基準で糖尿病と判定される者の割合は男で4.3%, 女で2.8%であり, WHO基準の男7.8%, 女5.8%と比べて低い. 従来のWHO基準の結果を標準とした新基準の結果の敏感度は40.5%, 特異度は99.2%となり, 特異度は高いが, 敏感度が低い結果となった. 肥満度別の敏感度は過体重者で55.3%と最も高く, 正常者は36.6%, 肥満者で30.8%と低い. 年齢階級別肥満度別では, 肥満度に関係なく, 70歳以上で敏感度が低い. 新しい基準を用いる場合には, 肥満者, 高齢者における耐糖能異常者が糖尿病の診断から除かれる可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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