1999 年 42 巻 8 号 p. 699-705
長期にわたる糖尿病治療の継続と合併症の予防のためには, 比較的軽症期にある患者の心理を早期に把握することが重要であると考えた. この目的のため近年特にその患者数の増加が指摘されている40歳以上のインスリン非依存型糖尿病患者の中で, 糖尿病による日常生活への支障がほとんどない外来通院中の患者を対象とした. 心理テストを用いこれらの患者の心理状態を評価し, その心理傾向といくつかの背景因子との関連を調べた. 1) 血糖コントロールの悪さと神経症傾向, 2) 年代の若さ, 罹病期間の短さと特性不安, 状態不安の高さ, 3) 女性と状態不安の高さ, 4) 男性と「易怒性」の高さ, 5) 経口血糖降下剤服用中の患者と生活満足度の低さとの相関が見い出された.