糖尿病
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卵管留膿腫から腸腰筋膿瘍へ進展した2型糖尿病の1例
小杉 栄二郎比嘉 眞理子山室 渡浜谷 敏生中野 眞佐男佐藤 通洋
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2001 年 44 巻 3 号 p. 221-226

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抄録

症例は77歳, 女性. 20年来の2型糖尿病にて加療中であったが, 血糖コントロールは不良であった. また, 1年前より帯下があるも放置しており, 最近悪臭を伴うようになってきた. 4日前から発熱, 右下腹部痛, 腰痛, 下痢および嘔吐があり当科入院となった. 入院後, インスリン頻回注射による血糖コントロール, 補液および抗生剤の投与にて第3病日には下痢, 嘔吐は消失したが, 下腹部痛, 腰痛および帯下は増強し, さらに炎症反応の増悪があり, 腹部超音波とCTスキャンにて卵管留膿腫と腸腰筋膿瘍が疑われた. 腸腰筋の超音波下経皮的吸引生検を行い, 膿性分泌物を採取した. また, 同膿瘍と卵管および子宮との交通を認め, 卵管留膿腫による腸腰筋膿瘍と診断した. 膿からはKlebsiell a ozanenaeを検出し, 膿瘍ドレナージと抗生剤投与を行い改善した. 近年, 腸腰筋膿瘍は画像診断の進歩や高齢化に伴い増力口しており, 中でも糖尿病を合併した例は30~60%と高率である. しかし, 本例のことく卵管留膿腫から上行性に感染し腸腰筋膿瘍を形成した例はわれわれが調べた限り本症例は2例目であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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