糖尿病
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トログリタゾンの二次無効とその予測因子の検討
許斐 朝子石井 英博早木 郁人松本 雅裕
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2001 年 44 巻 4 号 p. 323-327

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抄録

トログリタゾン (TR) の二次無効とその予測因子について検討した. TR投与6カ月以内に投与前と比較してHbA1cが1%以上低下した有効例を, その後のHbA1cの上昇が0.5%以下であった群 (安定群) と1%以上再上昇した群 (中途悪化群) に分けた. 両群ともに空腹時血中インスリン (IRI) とhomeostasls model assessment (HOMA) 指数は改善時に有意に低下した. 追跡時にはIRI, HOMA指数とも中途悪化群においてのみ前値と同程度に再上昇した. 中途悪化群では安定群に比較して投与前のIRIとHOMA指数が有意に低値で, 「中途悪化」が起こることについての多重ロジスティック回帰分析ではHOMA指数が負の, 投与後6カ月間の体重増加が正の有意因子であった. 中途悪化の時期別に見ると, 投与開始後6-8カ月の悪化にはHOMA指数が, 12カ月以降の悪化には体重増加が有意因子であった. 以上より, 低いインスリン抵抗性は早期に, 急速な体重増加は遅れてTR二次無効に関与すると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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