抄録
型糖尿病患者におけるQTc dispersion (QTcd) と細小血管障害との関連について, 糖尿病 患者 (DM群) 106名と健常対照者 (C群) 247名を比較検討した, 各群内での男女別および年齢層 別のQTcdに有意差は見られなかった. DM群でのQTcd (平均値±標準偏差) は47.7±21.5 msecであり, C群の25.3±97msecに比べ有意に延長していた. さらに10年間隔の年齢層別で両群を比較したところすべての年齢層でDM群のほうが有意に延長していた. 推定罹病期間が短いと考えられる若年者でもすでにQTcdが延長しており, 糖尿病が早い時期から心筋に悪影響を与えている可能性が示唆された. また, 推定罹病期間が20年を越えるとQTcdがより延長し, 網膜症を有する群ではQTcdが有意に延長していた.