2002 年 45 巻 1 号 p. 33-38
症例は生下時に染色体異常 (詳細不明), 13歳時に2型糖尿病と診断された18歳男性で, 発熱, 咳嗽, 喀痰を主訴に入院した. 検査所見上, WBC16200/μl, CRP23, 4mg/dl, PO275.8mmHg, 血糖327mg/dl, HbA1c7.3%を認めた. 胸部CT所見から左下葉の肺膿瘍と診断し, インスリンとともに抗生剤 (IPM/CS+CLDM) の投与を開始した. しかし第3病日に呼吸状態が悪化し, WBC23800/μl, CRP31.5mg/dl, PO2568mmHgと増悪した. 胸部CT所見から左膿胸と診断し, 胸腔ドレーンを挿入した. 以後約4週間, 抗生剤と胸腔ドレナージによる治療を継続したが, ドレーンからの排膿が持続したため, 第40病日手術を施行した. 術後経過は良好で, 第54病日胸腔ドレーンを抜去した. 退院時には血糖100mg/dl, HbA1c6.2%まで改善していた. 染色体検査では17番染色体短腕17p 11.2の腕内欠失が認められ, 特徴的な臨床所見と合わせて最終的にSmith-Magenis症候群と診断した.