糖尿病
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抗ヒト免疫不全ウイルス療法中にケトーシスを伴って発症し, インスリン治療により寛解した糖尿病の1例
安藤 仁篁 俊成山下 治久早川 哲雄山崎 雅英小林 健一
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2002 年 45 巻 1 号 p. 57-60

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抄録
症例は36歳, 男性. 血友病Aの治療中にHIVに感染し, 1998年5月よりindinavir (IDV) を含む抗HIV療法が開始された. IDVによる腎結石予防のため清涼飲料水を多飲 (約1.5L/日) していたところ, 2001年2月より口渇・体重減少が出現し, 同年3月14日に血糖864mg/dl, 尿ケトン体陽性で入院となった. 入院後, 抗HIV療法はそのまま継続しインスリン治療を行った結果, 高血糖は次第に改善し最終的に食事療法のみで血糖コントロール可能となった. 退院1カ月後に施行した75g経口ブドウ糖負荷試験では, インスリン前値24.1μU/ml, 頂値156.8μU/mlと強いインスリン抵抗性を認めたものの血糖は境界型であった. IDVを初めとするプロテアーゼ阻害薬はインスリン抵抗性を惹起することが知られており, その内服中には清涼飲料水の摂取制限を含めた食事指導が必要である.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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